ヘボコン大会 in Makers Oasis Day 2 寄稿レポート「ヘボコニストになる勇気」(Sズキ エグチ)

ヘボコン大会 in Makers Oasis Day 2に出場された Sズキ エグチ さんより、イベントレポートの寄稿をいただきました。ありがとうございます!

本職エンジニアの挑んだヘボコン、そしてそこで振られた無理難題……。お楽しみください。(ここまで石川)

「ヘボコニストになる勇気」
(Sズキ エグチ)

技術力の低い人のためのロボット相撲大会であるヘボコンに、技術力がある(はず)のエンジニアが出場してみました。

非常に興味はありつつも、エンジニアと名乗る人間が出ていい大会ではないのでは?と思って、参加に踏み切れなかったヘボコン。「エントリーあと1枠あいていて、出てもらえませんか?」との話があった。
自分からエントリーするのは気が引けるけど、出てくれと言われれば、渡りに船。乗るしかない、このビッグウェーブに。・・・ということで出場してみました。

現場でロボットを作るタイプのヘボコン

今回ヘボコンが開催されていたのは、名古屋のMAKERS OASISというイベント。自分はものづくり作品展示の説明員として参加していました。

通常のヘボコンは「家で作ってきたロボット」で戦うのだが、今回は「その場にあるものを使って、即興でロボットを作って、ヘボコンに出よう」というワークショップが併催されたイベント。みんな現場で作ったアドリブが効いたマシンで戦うのだ。

日も傾いてきて、展示時間も終盤になった頃、「ヘボコン、まだエントリーが1枠空いていて、出てもらえないですか?」とお声かけがあった。
急に言われても、どういうロボットを作ったらいいか思いつかない。けど、ここで参加しなけりゃ、もう一生ヘボコンに参加できるチャンスなんてない。
みせてやりますよ。ホンモノのエンジニアの仕事というものを。

思ってたんと違う

エントリーするために運営本部に行ったら、話が急展開。

ヘボコンマスター石川さん「エントリーありがとうございます。もう試合開始まで時間がないので、この作りかけのマシンを、あと10分で出られるようにしてください」

私「え‼ 今から10分でマシンを⁉」

「作りかけのマシンを~」って、誰かが作りかけでどっか行っちゃったの??そんなことある?それこそがヘボコンなのか??というようなことが頭をよぎるが、残り10分。焦っていて、それどころではない。

ヘボコンマスター石川さん「マシンの動きをレクチャーしますね。ここがバネになっていて、くるくる回るはずだったんですよ。軸の摩擦が大きいみたいで、ここ作り直せば動くかも。」

今は動かないとはいえ、プラスチック段ボールのところを作り直せば動きそうな雰囲気。
あと腕を回転させるよりは、せっかくだから走らせたい感じ。

いきなりアクセル全開で改造!

ガラクタ置場&作業場に走って戻り、急いで修正開始

摩擦を減らすために、プラスチック段ボールでできている軸受けを、塩ビパイプに変更。抵抗になってそうだったマスキングテープもはがして、グルーガンで再接着!

ためしに動かしてみたけど、いまいちよくなってない。
もう一度テストを・・・と思ったら、グルーガンが固まってない!!
糸にグルーガンがべっとりついちゃった。
うへぇ、こりゃまずい。

摩擦を減らしても動かなそうなので、今度は力が加わる部分に手を加える。
軸を太くしちゃえばトルクが出て回るようになるんじゃないだろうか?

試してみたら、養生テープが他と当たって、さっきより動きが悪くなった。こりゃだめだ。ここで聞こえる「ヘボコン出場者の方~、集まってくださ~い」の声。時間切れ。もうダメだ。いちばん動きそうでマシだったとこまで戻さないと。あーグルーガン固まらないし。

ということで、はい、完成。

バネのところは手で押さえてないと動いてしまう。

1回うごかしたら、バラバラになってしまいそうで、怖くて手が離せない。

グルーガンが固まったのかどうか確認できないし、壊れたらなおす時間もない。

結局、試合開始まで手を離せませんでした。

いざ勝負!!

いよいよ試合である。

3,2,1 試合開始!

・・・

・・・

やっぱり動かねェーーーッ!!

こりゃダメだ―と思ったら、相手のマシンに押された勢いで、ばねが動き出した!

が、またすぐ止まる。

相手に押してもらったら動きそうだから、ちょっと押してほしい!

・・・・と思って待ってるけど、相手のマシンが進んでこない

対戦相手の方に「コードが伸び切ってますよ」と教えてあげたら、するっと押されてコテンと負けました

失敗するほどに高まるバイブス。

実際に参加してみると「世の中にはこんなに楽しいエンジニアリングがあるのか」という衝撃。エンジニアももっとヘボコンに参加すればいいと思う。

きっとヘボコンは勝負ではなく、ものづくりを通したコミュニケーション。もちろん勝利を目指して一生懸命に戦うが、それは最終目的ではない。ものを作って見せあうことは楽しいのだ。成功も楽しいし、失敗も楽しい。

とにかく参加して、この楽しさを味わってほしい。

ということで、ヘボコンに出る勇気がなかったエンジニアが、チャンスをつかんで現場のアドリブだけで出場したヘボコン。超楽しかったです。

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